中途覚醒の対策と改善方法

夜中に目が覚めて眠れなくなる中途覚醒。その原因は何でしょうか。また、対策や改善方法はあるのでしょうか。

 

この記事では、中途覚醒の対策としての睡眠導入剤やサプリ、市販薬、漢方を紹介します。

 

 

 

中途覚醒とは?

「せっかく寝ついても、夜中に何度も目が覚めてしまう……」

 

「目が覚めると、そのまま眠れなくなってしまう……」

 

こんな症状がひんぱんに現れる、目が覚めてしまうのが苦痛になっている、それは中途覚醒の可能性があります。中途覚醒はれっきとした睡眠障害、不眠症の一種です。

 

中途覚醒は、睡眠の質が低下するもと。でもそれだけではなく、深刻な心身の不調が隠れていることもあるため、注意が必要な症状なのです。

 

 

中途覚醒かどうかは、どうやって判断するの?

「そういえば、最近よく夜中に目が覚めるけれど、大丈夫かな……?」

 

睡眠障害と聞くと、不安になってしまいますよね。

 

アメリカ精神医学会、アメリカ睡眠医学会が提示している診断基準によると、

 

  • 夜中に目が覚めてしまい、再び寝つくまでに30分以上かかる。
  • 本人が苦痛に感じており、日常生活にも支障が出ている。
  • こうした症状が週に3回以上あり、しかもその状態が3ヶ月以上継続している。

 

こうした状態にある方は、中途覚醒と判断することができます。

 

ただ、一応の目安として「30分」、「週3回」といった数字を出しましたが、数字にとらわれすぎるのはあまりよくありません。いちばん重視するべきなのは、2つ目の、「本人が苦痛を感じているかどうか」です。

 

極端なことをいえば、寝つけない、眠りが浅い、という状態が頻発していたとしても、本人があまり気にしておらず、日常にこれといった影響がないのであれば、それほど深刻な状態ではありません。

 

「今週は3回起きてしまったから、不眠症かもしれない」と、心配することでストレスがたまり、かえって睡眠を妨げるきっかけにもなりかねません。

 

逆に、回数が少なくても、本人にとって大きなストレスになっているのであれば、何らかの対策がとられるべきでしょう。

 

中途覚醒の判断基準。いちばん重視するべきは、「本人が苦痛を感じているかどうか」

 

中途覚醒の判断基準

 

 

中途覚醒の原因

睡眠のリズムの乱れ

中途覚醒の直接の原因は、睡眠のリズムが乱れることです。

 

睡眠の深さというのは一定ではなく、80分〜100分のサイクルで深くなったり浅くなったりをくり返します。そのリズムが乱れていると、睡眠が浅くなったタイミングで目が覚めてしまうのです。

 

中途覚醒の方の中には、いつも決まった時刻に目が覚めたり、就寝後、一定の時間が経過したときに目が覚めたり、決まったパターンを持っている方があります。

 

これは、睡眠が浅くなったときに目が覚めてしまうためです。

 

 

アルコール

アルコールには、神経中枢を麻痺させる作用があります。酔っ払うと、歩けなくなったり、ろれつが回らなくなるのは、運動中枢や言語中枢が麻痺してしまうため。

 

睡眠も実は同じなのです。

 

お酒を飲むとよく眠れる、という方は少なくありませんが、それは「覚醒中枢」が麻痺している状態で、眠っているというよりは失神している状態に近いのです。

 

そのため、アルコールが体内で分解されて酔いがさめてくると、神経中枢が働き始めて、不自然なタイミングで目が覚めてしまいます。

 

正常な形の睡眠ではないので、心身の休息に必要とされるレム睡眠やノンレム睡眠をしっかりと得ることができません。また、肝臓がアルコール分解のためにフル稼働していますから、睡眠をとったはずなのに、肉体的にも精神的にも疲労感が残ります。

 

中途覚醒だけでなく、早朝覚醒や熟眠障害など、ほかの睡眠障害の原因にもなりやすいのが、アルコールの厄介なところです。

 

 

睡眠時無呼吸症候群

睡眠時無呼吸症候群は、睡眠中に何らかの要因で呼吸が止まる症状です。息苦しくなるため睡眠が浅くなり、しまいには目が覚めてしまいます。

 

また、睡眠時無呼吸症候群は頻尿も誘発します。

 

睡眠中は、ホルモンの働きによって尿意がおさえられています。しかし無呼吸の状態になると交感神経が活発になり、尿意が刺激されてしまいます。息苦しいだけでなく、尿意によっても目が覚めやすくなるのです。

 

睡眠時無呼吸症候群の診断基準は、

 

  • 10秒以上の呼吸停止が、1時間に5回以上発生
  • または7時間の睡眠中に30回以上発生

 

となっています。これはかなり多い回数ですね。夜中に2度、3度と目が覚める。よくトイレに起きる、という方は、睡眠時無呼吸症候群による中途覚醒を疑ったほうがよいでしょう。

 

 

脳変性疾患

中途覚醒は、脳変性疾患が原因になっていることもあります。

 

脳変性疾患とは、脳や脊髄の組織が壊れることで引き起こされる症状の総称です。

 

脳内のドーパミン神経の減少で起こるパーキンソン病、神経細胞が壊れて脳が萎縮することで起こるアルツハイマー、脳の血管がつまったり、血管が破れることで起こる脳卒中などが、脳変性疾患の代表的な例です。

 

脳の睡眠をつかさどる部分に直接変性が生じることで不眠になるケースと、疾患によって身体に不調が生じ、それが原因で不眠を引き起こすケースとがあります。

 

 

うつ病

睡眠障害は、うつ病の初期症状として代表的なものです。

 

この記事で扱っている中途覚醒だけでなく、入眠障害、早朝覚醒、熟眠障害、すべての症状がうつ病と関係があります。

 

うつ病について、わたしたちは単に「気持ちが沈んでいる状態」と考えてしまいがちですが、実際は、心身のストレスが重なることで、脳そのものに機能障害が起きている状態がうつ病です。

 

うつ病によって脳の機能がうまく働かなくなっているために睡眠障害が誘発されるケースもありますし、逆に充分な睡眠がとれないことによる倦怠感やストレスが、うつ病の症状を進めてしまうケースもあります。

 

そのため、うつ病と中途覚醒などの睡眠障害が同時に現れる方もありますが、睡眠障害からうつ病に移行する方、うつ病のあとで睡眠障害が現れる方など、ケースはさまざまです。

 

うつ病と中途覚醒の関係性がイメージできるのではないでしょうか。

 

 

加齢によるもの

年令を重ねるにつれて、睡眠の質は下がっていくことがほとんどで、睡眠が全体に浅くなって中途覚醒が多くなり、早く目が覚める傾向が強くなります。

 

「おじいさん、おばあさんは朝が早い」
「日中は、縁側で猫と一緒にうとうとしている」

 

こんな、おじいさん、おばあさんのイメージは、けっこう当たっているのです。

 

加齢によって睡眠の質が下がる原因は大きくふたつあり、ひとつは新陳代謝が低下することです。体の機能が全体に弱くなり、睡眠に関係したホルモンの分泌も少なくなるため、中途覚醒が起きやすくなります。

 

もうひとつは、日中の活動量が少なくなることがあげられます。

 

体力が低下するため、若い頃と比べると身体的な活動も減少しますし、新しい情報を取り込むといった、精神的な活動も少なくなります。

 

睡眠には、「肉体の疲労を回復すること」と、「取りこんだ情報を整理すること」、主にふたつの作用がありますが、活動量が少ないと、体が、深い睡眠が必要ないと判断して、眠りが浅くなってしまいます。

 

また、女性の中途覚醒は、閉経が関係している場合もあります。

 

呼吸を維持する呼吸筋は、女性ホルモンによってコントロールされています。しかし更年期になると女性ホルモンの分泌が減少するため、睡眠時無呼吸症候群が生じやすくなり、中途覚醒につながることもあります。

 

 

そのほかの要因

疾患 皮膚疾患、むずむず脚症候群、周期性四肢運動障害など
生理 ホルモンバランスの乱れから交感神経が優位になり、中途覚醒しやすくなります
ストレス 自律神経が不安定になるため交感神経が静まらず、中途覚醒してしまいます
カフェイン 中途覚醒による日中の眠気を払うためにカフェインを摂りすぎ、眠りが浅くなる、という悪循環が多いです
咳止めや鎮痛剤などの中には、不眠の副作用を持つものもあります

 

中途覚醒は、心身の機能障害そのものが原因になっていることも

中途覚醒の原因

 

 

中途覚醒の治療と睡眠導入剤

中途覚醒を扱っているのは、以下の科になります。

 

精神科 うつ病、依存症など、心の症状を扱います
心療内科 胃潰瘍など、精神的なトラブルが原因で身体に生じた病気を治療します
神経内科 パーキンソン病など、脳・神経そのものに現れた病変と、それにともなう症状を治療します
内科 身体に現れた症状全般を扱います

 

 

中途覚醒の検査方法

睡眠ポリグラフ検査とアクチグラフがあります。

 

睡眠ポリグラフ検査

体に検査機器を装着し、眠っている間の脳波、呼吸、眼球運動、心電図などのデータを取り、睡眠の状態を検査します。病院に一晩入院して検査を受けることになります。

 

多くは、睡眠時無呼吸症候群が原因の中途覚醒が疑われる場合に行われる検査です。

 

アクチグラフ

腕時計型の検査機器を3週間から1ヵ月ていど、手首に装着し、データを取る検査方法です。

 

活動・休止のリズムやストレスによる心拍数の増加、日中や夜間の眠気、睡眠の量や質の変化など、日常生活と睡眠についての多角的なデータを集めることができます。

 

 

中途覚醒の治療

主に、認知行動療法や睡眠導入剤による治療が行われます。

 

認知行動療法

カウンセリングを通して、睡眠障害の原因を探り、解消していく治療法です。睡眠を妨げる生活習慣があればそれを改善したり、行動パターンを修正するなど、ひとりひとりの患者さんに合った方法を、時間をかけて見つけていきます。

 

中途覚醒の治療として特徴的なものをひとつあげると、「就寝中は時計を見ないようにする」というものがあります。

 

夜中に目が覚めて時刻を確認してしまうと、「また目が覚めてしまったんだ」と、中途覚醒が意識に強くインプットされることになります。

 

起きた時間や回数はあまり気にしないほうがいいです。起床時間は目覚ましでわかるようにしておいて、時計は見えないようにしておくとよいでしょう。

 

これなどは、自分でもすぐに実行することができる、認知行動療法といえます。

 

睡眠導入剤

病院で処方される睡眠導入剤は、効果の持続時間によって

 

  • 超短時間作用型
  • 短時間作用型
  • 中間作用型
  • 長時間作用型

 

の4種類があります。中途覚醒で処方されるのはほとんどの場合、短時間作用型と、中間作用型のどちらかになりますが、症状によっては超短時間型の睡眠導入剤が使用されることもあります。

 

種類 特徴 デメリット
超短時間作用型
  • 効果が現れるのが早いが、2〜4時間で半減する
  • 翌朝への影響が少ない
  • 中途覚醒にはやや不向き
  • 薬をやめると一時的に症状が悪化することがある(リバウンド)
短時間作用型
  • 6〜10時間で半減する
  • 睡眠の前半に目を覚ます方向け
  • 翌朝への影響が少ない
  • 薬をやめたあとのリバウンドが少ない
  • 記憶障害、筋弛緩作用が出ることがある
中間作用型
  • 10〜30時間で半減する
  • 朝まで継続して眠ることができる
  • 薬をやめたあとのリバウンドが起こりにくいので、使用をストップしやすい
  • 目覚めの悪さや頭痛など、翌朝に影響が出やすい
  • 筋弛緩作用が日中に現れて、転倒などを引き起こすことがある

 

中間作用型はこのほかに、日によって中途覚醒が起きるタイミングが異なる、という方にも、広い時間帯をカバーすることができるため、適しています。

 

病院で処方される主な睡眠導入剤
商品名 分類 特徴
マイスリー 超短時間型
  • 比較的新しい睡眠導入剤
  • 効き目が穏やかで副作用が少ない
  • 持続時間が短いので、中途覚醒には少し不向き
ルネスタ 短時間型
  • 効き目が早く現れる
  • 記憶障害などの副作用あり
  • 苦味が口中に残る
レンドルミン 中間作用型
  • 健忘・ふらつきなどの副作用あり
  • 翌朝への影響は比較的少ない

サイレース
ロヒプノール

中間作用型
  • 中途覚醒のほか、入眠障害や早朝覚醒の防止にも使うことができる。抗不安作用もあり、汎用性が高い
  • 体内への蓄積、依存性が生じやすいなどの副作用あり

 

 

睡眠導入剤のメリットやデメリットは、効果の持続時間にともなって強まる

 

睡眠導入剤の長所と短所

 

 

中途覚醒を改善するサプリ

中途覚醒に特化したサプリ、という商品は販売されていないようです。

 

サプリメントで対策をする場合は、睡眠をサポートする成分や、リラックス効果のある成分のサプリメントを選ぶとよいでしょう。

 

睡眠をサポートする成分

  • ギャバ(GABA)……心身をリラックスさせ、体温を下げて睡眠へ誘導する。
  • グリシン……神経の興奮を抑え、体温を下げて睡眠を整える
  • クワンソウ……有効成分オキシピナタニンが、スムーズな入眠をサポートする
  • トリプトファン……睡眠ホルモン、メラトニンの原料になる成分

 

リラックス効果のある成分

  • ギャバ(GABA)……アミノ酸の一種。血圧を下げて緊張を解く
  • テアニン……お茶のうまみを作るアミノ酸。脳に働きかけて神経を鎮静化する
  • バレリアン……ハーブの一種。鎮静作用、ストレスの緩和など

 

サプリメントは、睡眠導入剤のような効果はありませんが、基本的に副作用や依存性がなく、安心して使用することができます。

 

トリプトファンについては、こちらのページも参照してください。 → 「トリプトファンサプリで寝付きを改善!」

 

 

中途覚醒のそのほかの対策・改善方法

市販薬

ドラッグストアなどで購入することができるのは、「睡眠改善薬」と呼ばれるものですが、これは中途覚醒にはあまり効果がありません。

 

睡眠改善薬の主な成分は、風邪薬などにも使われている抗ヒスタミン剤です。

 

これは、確かに眠気をもよおさせる作用はあるのですが、効果が短時間しか持続しません。睡眠を継続させることができないため、途中で眠りが浅くなってしまう中途覚醒には、ほとんど効果は期待できません。

 

 

漢方薬

睡眠導入剤と違い、寝つきをスムーズにする漢方や、睡眠を持続させる漢方はありません。

 

東洋医学における睡眠障害の治療は、体全体のコンディションを整えて、睡眠が取れるように自然に誘導していくというものだからです。

 

東洋医学では、不眠は「虚証」タイプの不眠と、「実証」タイプの不眠に分類されます。

 

  • 虚証……エネルギーが不足している状態
  • 実証……不必要なものをため込み過ぎている状態

 

虚証・実証を自分で判断するのは少し難しいのですが、とりあえず簡単に、体力がない方は「虚証」、体力がある方は「実証」と判断してもよいでしょう。

 

虚証タイプの不眠には「加味逍遙散(かみしょうようさん)」、実証タイプの不眠には「黄連解毒湯(おうれんげどくとう)」が効果があります。

 

これらは生薬の名前ではなく、数種類の生薬をブレンドした漢方薬です。製薬メーカーの「ツムラ」などでも販売していますので、ドラッグストアで購入することができます。

 

虚証・実証の判断が難しい、という場合は、「加味逍遙散(かみしょうようさん)」のほうをおすすめします。基本的には虚証タイプ向けの漢方ですが、実証タイプにも効果があるとされています。

 

 

食事

夜の食事内容は睡眠に影響します。

 

  • アルコール
  • カフェイン
  • 消化の悪い食事

 

これらは避けるようにしましよう。

 

アルコールを避ける理由は前述のとおりです。

 

カフェインに覚醒作用があるのはよく知られていますよね。カフェインは飲んだあと、4時間〜6時間は体内にとどまります。コーヒー、お茶、ココアなど、カフェインを含んだ飲み物は、夕方以降は摂らないほうがよいでしょう。

 

食物が入ると、胃腸は消化吸収のために動き始めます。内臓がせっせと活動している状態だと、深部体温も下がりづらいですし、体も充分に休息を取ることができません。

 

脂っこいメニューや肉は特に消化に時間がかかります。逆に、果物や野菜、麺類は比較的短い時間で消化されます。

 

睡眠のためには、消化のよい食物を選んで、早めに夕食を済ませましょう。

 

 

まとめ

睡眠障害全般についていえることですが、中途覚醒の原因はさまざまです。

 

疾患が原因のこともあれば、生活習慣が原因のこともあります。まずは、原因を探って、それを取り除くところから始めてはどうでしょうか。

 

記事ではあえて紹介しませんでしたが、寝具を変えてみたり、アロマオイルを活用する方法もあります。

 

心と体が心地よく感じる環境を探して、睡眠の質を改善していきましょう。

 

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